「トロッコ」 芥川龍之介

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「蜜柑」 芥川龍之介

芥川龍之介『蜜柑』

初出 1919年『新潮』(大正8年)5月

 

【書き出し】

或曇つた冬の日暮である。私は横須賀発上り二等客車の隅に腰を下して、ぼんやり発車の笛を待つてゐた。とうに電燈のついた客車の中には、珍らしく私の外に一人も乗客はゐなかつた



「野ばら」 小川未明

小川未明『野ばら』

 

【書き出し】

大きな国と、それよりはすこし小さな国とが隣合っていました。当座、その二つの国の間には、なにごとも起こらず平和でありました。



「手袋を買いに」 新美南吉

新美南吉『手袋を買いに』

初出 

 

【書き出し】

寒い冬が北方から、狐の親子の棲んでいる森へもやって来ました。

或朝洞穴から子供の狐が出ようとしましたが、「あっ」と叫んで眼を抑えながら母さん狐のところへころげて来ました。



「冬の蠅」 梶井基次郎

 

梶井基次郎『冬の蠅」 

初出 1928年『創作月刊』(昭和3年)五月号

 

【書き出し】

冬の蠅とは何か?よぼよぼと歩いている蠅。



「桜の樹の下には」 梶井基次郎

 

初出 1928年(昭和3年)12月「詩と詩論」

【書き出し】

桜の樹の下には屍体が埋まっている!これは信じていいことなんだよ。



「むじな(狢)」 小泉八雲/R・ハーン

 

小泉八雲/ラフカディオ・ハーン『むじな」 

 

【書き出し】

東京の、赤坂への道に紀国坂という坂道がある──これは紀伊の国の坂という意である。



「トロッコ」 芥川龍之介

 

芥川龍之介『トロッコ」 

 

【書き出し】

小田原熱海間に、軽便鉄道敷設の工事が始まったのは、良平の八つの年だった。